北信小谷村 真那板山(1219.4m)、跡杉山(1285m)、沓形山(1324.7m)  2016年3月12日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:33 笹野集落−−6:49 林道を離れる−−9:15 稜線に出る−−9:36 真那板山(休憩) 10:02−−10:53 跡杉山(休憩) 11:08−−11:16 大峠−−12:08 沓形山(休憩) 12:33−−13:00 大峠−−13:39 地形図に無い林道−−13:52 林道−−15:09 笹野集落

場所長野県北安曇郡小谷村
年月日2016年3月12日 日帰り
天候晴後霧後雪
山行種類残雪期
交通手段マイカー
駐車場林道脇に駐車
登山道の有無無し
籔の有無今は残雪で藪無し。無雪期は笹か根曲がり竹の藪が予想される
危険個所の有無往路はルートミスで急斜面あり
山頂の展望真那板山:良好  跡杉山:良好  沓形山:ガスで不明だが樹林多く良くなさそう
GPSトラックログ
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コメント笹野集落から反時計回りに周回。古い雪は締まっていたが直前に積もった新雪で帰りの林道歩きは特に苦労した。稜線に乗るまでと大峠から林道までの地形は複雑で、往路は計画より西側を登ってしまい最後はとんでもない急なルンゼをよじ登った。計画した875標高点のある尾根を登っていればもっと安全だっただろう。稜線に出てしまえば安全地帯。樹林が続くが展望個所もある。前半は快晴だったが跡杉山からガスがかかりだし、沓形山以降は降雪とガスだった


地図クリックで等倍表示


笹野集落入口から分岐する姫川妙高林道入口 すぐに雪が現れる。足跡らしき窪みあり
路側に駐車 笹野集落
林道は雪に覆われている 右に分岐する林道を進む
林道最高点から左へ 斜面に取り付く。雪は少ない
沢が登場 西側の展望
沢の右岸側を登る カモシカの足跡を辿る
広い谷で詳細な現在位置が読めない 振り返れば尖った明星山
スキーヤーの目印か 相変わらず広い谷地形を登る
大木 谷が狭まってきた。両側はきつい傾斜
上部はルンゼと表現した方がいい傾斜 振り返る
写真では分からないがかなりの傾斜 周囲の木は真っ白
やっと谷の終点 傾斜が緩んで安全地帯
雪の花が咲く 笹が見える。積雪量は少ないらしい
天然杉はミニモンスター化 後立山は雲に隠れている
真那板山山頂 新しそうに見える山頂標識
広い稜線を東へ進む 矮小な木が邪魔なリッジ
1230m峰 跡杉山
1230m峰から見た東〜南〜西の展望(クリックで拡大)
振り返れば自分のトレースが延びる 跡杉山への尾根は雪庇が続く
跡杉山山頂 跡杉山から見た沓形山
大峠へと下る 大峠
1264m峰は南を巻く 沓形山につながる尾根に乗る
ガスで周囲が見えずこの地形は厳しい 右側の尾根を登る
沓形山山頂もガスの中 DJF氏のテープが唯一の目印
自分のトレースが無ければ下りは疑心暗鬼だったろう 帰りの大峠
夏道? 北北東方向に適当に斜面を下る
急斜面はつぼ足で歩いた 標高1000m地点の平坦地
標高790m地点で地形図に無い林道が登場 雪に埋もれて分かりにくいが林道上にいる
林道脇の祠 尾根上の林道を下る
大きなトチノキ トチノキの標識
林道姫川妙高線に合流 新雪の積もった林道歩きはつらい
長者平ってどこだ? 水場のようだ
流れがある場所は路面が出ていた 新雪が無い植林の中の方が歩きやすい
フキノトウが顔を出していた トレースが深い
横川対岸の滝 ゲート
やっとスノーシューを脱げる! 笹野集落
ようやくゴールイン! 林道歩きが一番疲れた


 小谷村には登山道が無く主に積雪期の山スキーで登られる山がいくつもあるが、真那板山、沓形山もそんな山だ。夏道の存在する大渚山から西に続く稜線上にあり、接近しているのでまとめて片付けたい山だ。跡杉山は大峠から登山道があるようだが、真那板山、沓形山の中間にあるのでついでに登るのが効率的だろう。ネット検索すると山スキーの記録がいくつも出てくるのでそこそこ登られる山らしい。登山口とするのは北西側の大網集落。真那板山へ突き上げる北斜面をスキーで楽しむようだ。私はスキーは持っていないのでスノーシューで巡る。

 真那板山北面の谷が傾斜が緩いので登るのにちょうどいいが、地形が複雑で読図が難しそうだ。大雑把に言えば谷筋を登って傾斜がきつくなってきたら左(東)へ逃げればいいのだが、広い谷の中に細かな谷が存在するのでそれを読みきれるかどうか。迷って適当に登り、最後は谷を登っても尾根を登っても同じくらいの傾斜だろう。先週の奉納山を考えれば同程度かそれ以下の傾斜であろう。

 心配な雪質であるが、今週末土曜日は寒気が居残って雪が緩む心配は不要だが、直前に降った新雪が心配の種。長野市内でも薄っすら積もるくらいだったから小谷の山の上ではそれなりに積もったと考えていいだろう。スキーヤーなら新雪を喜ぶのだろうが、歩くためにはラッセルが深くなっていいことではない。でも、今年は残雪が少なく、これ以上時期を遅らせると麓は藪漕ぎになりそうなので出かけることにした。先週の奉納山で体力は少し復活したはずで、今週は負荷を上げていいだろう。

 長野市から小谷村まで、先週の記事では100kmと書いたが、所要時間を計測したら約1時間だったので70km弱らしい。東京発と比較すればえらく近い。今週の登山口は新潟県側なので先週より少し遠いが大きな差は無い。先週登ったDJF氏は大網集落のバス転回所に駐車したが、私は帰りの林道歩きの可能性を考慮して笹野集落の林道入口へと向かった。予想通り林道は未除雪だが入口から100mくらいは雪が溶けて路側に駐車可能だった。どうせ他に車が入ってくることも無いだろう。白馬では小雪が舞っていたが、新潟に入ると星空が広がっていた。

 翌朝、30分ほど寝坊して6時半近くに出発。少しだけ林道を巡り右に分岐する林道へ入る。新雪に覆われた林道上には多数の凹みがあり、先週の足跡のように見えた。棚田が構成される開けた場所を歩き、林道が一番標高を上げるところで南へ針路変更、すぐに車道が無くなって枯れススキの藪になる。まだ標高が低いので雪は少なく、雪でかろうじて藪が埋もれた個所を選んで歩く。足跡らしき凹みはまだ続いているので、やはり先週末のハイカーの足跡のように思えた。ここでスノーシューを装着。

 斜面の傾斜が出てくるとススキは終わって自然林へ。まだ雪が少なく足元の雪は体重をかけると崩れて体がずり落ちるので、立ち木に掴まりながら登っていく。一登りで傾斜が緩むが予想通りの複雑な地形だ。単純な広い谷ではなく沢あり谷ありで詳細な現在地は把握できない。ただ、両側の顕著な尾根に挟まれたどこかなのは確かなので、このまま上を目指すことにした。

 やっと雪が増えてきて見える地面は無くなるが立ち木は多い。あまりスキー向きの場所ではないか。右手の小さな沢に沿って少し上がるが傾斜がきつくなって歩きにくいので、斜面を上がって尾根に出たと思ったらそこは尾根ではなくまだ広い谷の一角であった。ますます現在位置が不明だが、とにかく上を目指す。

 沢に沿った場所が尾根らしく盛り上がってきて、その真上は潅木で歩きにくそうなので東を巻き気味に登ってみると、尾根はその先で広い谷に吸収されて消えていた。本当に分かりにくい地形だ。一応、左右には尾根が見えて目の前は広い谷なので、計画どおりに進んでいるようだ。徐々に新雪が増して10cmくらいの深さ。でも気温が低く北斜面で日差しがないので雪は非常に軽いパウダースノーだった。これならラッセルはさほどの負荷ではないが、締まった古い雪の上に柔らかい新雪が積もっているので、急斜面を登るときには足元が崩れて苦労しそうだ。気温は低くスキー用の手袋では指先が冷えて痛いくらいなので、今シーズン初めてオーバーミトンを使用。さすがにスキー手袋の上から使うのは無理があるのでインナーに軍手を使用。これに使い捨てカイロを併用して指先の寒さは解消した。

 木の枝には新雪が積もって体が触れると振動で雪が頭上から降ってくるので、矮小な灌木はできるだけ避けるようにする。途中、1本だけ大木あり。何の木か種類は分からないが落葉樹で、枝を見る限り枯れかけているようだった。

 広い斜面を適当に登っていくが、かなりの傾斜になってきた。両側の尾根はもっと傾斜がきつそうなので谷間を登った方が得策と判断、そのまま谷筋を進む。立ち木は無くて見通しがいいのは有難いが、上部はかなりの傾斜だ。先週の奉納山の小雪庇段差登りよりはマシであるが、スノーシューを目いっぱ効かせるため足は逆ハの字に置いて、場所によってはピッケル、反対側の手まで使ってまさに「4WD」で登るような傾斜も登場する。通常ならアイゼンで登るような傾斜だろうが、私が使っているスノーシューは登りならばアイゼン並みの食いつきの良さがあるため、尾根が痩せていなければ使用可能だ。

 やっと谷の終点が見えてきた。最後は壁ではないかと心配したが、終点は傾斜が徐々に緩む地形で助かった。振り返るととんでもない傾斜で、谷というよりルンゼだ。下りのルートには絶対に使いたくない傾斜だった。

 ようやく谷を抜けて傾斜の緩い広い尾根に出られた。ここまでのルートは間違いなく計画した尾根から外れていて、現在地は不明だ。ただし、地形図を見る限りはこの緩斜面は真那板山から東西に伸びる主稜線の一角には違いない。周囲のブナはよく発達した樹氷に覆われていた。空は青空。今シーズンで最高の景色だ。谷筋ではずっと日影で気温は-8℃だったが、ここは日差しがあって体感的には暖かい。日焼けしそうなので先週に引き続き顔に日焼け止めを塗った。この天候では樹氷も緩んで長続きしないだろう。困るのは頭上から雪のように樹氷が落ちてくることだ。今回の山は標高はそれほど高くないので、稜線上でもブナがたくさん生えていた。中には杉もあり、こいつは葉っぱがあるので一段と雪を纏ってミニモンスター状態だ。

 東へと緩やかに登っていくと平坦で広い最高地点に到着。真那板山だ。ブナ樹林が開けた広場の西側の高さ2m強の手の届かない位置に、かわいらしい熊の山頂標識があった。この標識を取り付けた主が登ったときより今の積雪量は1m以上少ないはずだ。東半分は樹林が薄くそこそこ展望がいい場所だった。ここで休憩。日差しが暖かく、雪に刺したスノーシューに付着した雪がすぐ溶けるくらいだった。

 さて、次は沓形山まで稜線の縦走だ。新雪は15cmくらい積もっているので、先週の古いスキー跡は完全に埋もれてまっさらな雪原が広がっている。ここまでも一人ラッセルだったがこの先も他人のトレースは期待できない。登ってくるスキーヤーがいたとしても私の後だろう。

 広い斜面を東へ下って緩い登り返しにかかると狭いリッジ状になる。木が邪魔でスキーで通過するのは面倒そう。こちらはスノーシューなので立ち木も寝た木も構わず尾根上を進む。雪庇ができているが標高が低い影響か、はたまた基本的に稜線の幅が広いせいか、その大きさは大したことがない。1230m峰は顕著なピークで広い雪原にスノーシューの足跡を一直線に、いや、立ち木を避けながらなので微妙にうねったトレースを伸ばしていく。1230m峰から見る跡杉山への尾根は雪庇が発達している。今まで後立山や日本海側の山は雲が掛かっていたが頭上は晴れだったが、この時間になって日本海側からガスが上がってくるようになった。天気予報ではそれほど天候が悪化するようなことは言っていなかったので、また太陽が顔を出すだろうか。沓形山踏んでガスに巻かれると複雑地形でちとやっかいなことになりそうだ。

 跡杉山への登りは小規模な雪庇が発達し吹き溜まりではスノーシューでも脛まで潜る。できるだけ新雪が少ない場所を求めて表面が荒れた雪面を拾いつつ登っていく。ここは痩せ尾根はなく危険個所はない。

 登り切った雪庇の上がこの時期の最高点で跡杉山山頂。真那板山から新雪ラッセルが続いて足が重く、ここで小休止を入れる。まだ太陽が出ているが沓形山方面の1264m峰はガスの中に隠れて既に見えなくなっていた。

 下りにかかるとすぐにガスの中に突入してしまった。視界は100〜200mくらいなので近くの地形は見えるがマクロな地形は見えない。雪に埋もれたブナ樹林の尾根を下っていき、最低鞍部と思われる地点に到着。夏道のある大峠のはずだが予想外に標識類は皆無だった。雪に埋もれているのだろうか。南北方向へ溝のような凹んだ地形があり、おそらくこれが夏道だろう。さて、帰りはここを北に下るか、それとも往路を戻るかそのうちに決断しなくては。

 相変わらず雪に埋もれた矮小なブナ林が続く。遠い先はガスで見えないので近くの地形だけを見て尾根を外さないよう進んでいく。地形図では表現されない小鞍部から本格的に登りが始まり、ここを進めば1264m峰だ。しかしこのピークは緩やかで簡単に巻けそうなのでてっぺんまで登らず途中から南斜面を巻きにかかる。斜面もブナ林でそれほどの傾斜ではないので、スノーシューのままでも比較的容易にトラバースできた。相変わらず五里霧中で先が見えないが、1220m鞍部へと繋がる尾根は大きいのですぐに分かった。

 ただしこの尾根は鞍部から先は広すぎて地形が読めない。地図を見る限り、登りはできるだけ右手を歩いた方がお得なのですぐ右側の尾根に取り付く。もっとお得なのはもっと右側を登ることだったが、霧で見えないのでは仕方がない判断だろう。小ピークを越えてだだっ広い鞍部に差し掛かる頃にはガスが深くなり、新雪の白さと霧の白さで遠近感が把握できず、足元の傾斜が判別できずに非常に歩きにくかった。

 短区間のきつい登りが終わるとのっぺりした地形に突入、まだ緩やかに登っているようなので先に進み平坦部に到着。このすぐ先は緩い下りになっているが、その先にピークがあるかどうかは霧で見えない。GPSで確認するとここは間違いなく沓形山山頂だった。ブナが立ち並んですっきりした展望は得られなさそうだが今は霧でどこも真っ白、何も見えない。いつのまにか小雪が舞いだして予想より天気が悪化している模様。これじゃ帰りに霧が晴れることはないか。北寄りの風を避けて南斜面で休憩。日差しが無くなって寒かった。

 沓形山の帰りは霧で視界無し、複雑地形で通常なら苦労するところだが、今の時期は雪の上に往路の自分の足跡がくっきりと残っているのですんなり通過できた。1264m峰のトラバースは鞍部から直接巻いたが、周囲が見えず最後は不安になったので途中で上方に方向転換、往路の足跡を見つけて安心した。

 霧に包まれた大峠へ到着。ここで思案。ここから北に下って林道を歩くのがいいか、それとも往路を戻って真那板山から下るのがいいか。地形図を見ると大峠から北側斜面は往路の真那板山の登り同様に複雑怪奇、読図は非常に困難だ。この視界が制限された状況で使いたくはないのが本音だ。夏道は急斜面に付いているし今は積雪で判別もできないだろうから最初から使う気はなかった。また、傾斜がほとんどない長距離林道歩きはこの時刻では湿った新雪でラッセルが疲れるのは間違いない。

 往路を戻る場合は自分の足跡があるので安心だし自分のトレースのおかげでラッセルが不要なことが大きなメリットとなる。しかし跡杉山他を超える必要があること、往路のルートでは稜線に合流する直下の傾斜が猛烈過ぎて下りでは使いたくない。天秤にかけた結果、大峠から下ることに決定。バクチ要素満載だが、西側のガレた谷に迷い込まなければどうにかなるだろう。いつのまにか雪が舞い始めた。

 地形図では峠から北への下り始めは左へとトラバースしながら高度を下げる。峠付近は明瞭に凹んで夏道が判別できるが、斜面へ入ると怪しげに。夏道は気にせず適当に西にトラバースしつつ下っていると林道らしき道形が登場。しかし斜面の傾斜がきついので雪に埋もれて判別は難しい。何となく林道っぽいと思えるだけだ。それを辿り、たぶん林道が右に逃げていると思われる場所を直進し、小尾根を目指す。しかし地形図を見ても分かるように明瞭な尾根地形ではなく視界が制限された状況では下部の様子が見えず、方位磁石で北北東を確認し適当に下るしかなさそうだ。この先は傾斜がきつくスノーシューのままの下りでは滑りやすいのでつぼ足に切り替える。雪は新雪が積もって潜るのでブレーキが利くはずでアイゼンは不要と判断した。

 周囲はブナ林が続き、谷も尾根も顕著な地形は現れず広い斜面を適当に下っていく。部分的にはかなりの斜度だが積もった新雪と、その下のたまに踏み抜く古い締まった雪のおかげで予想通りアイゼン無しでもブレーキが良くかかる。ピッケルを使うまでもなく前を向いて下れた。もしスノーシューを履いたままだったらバックで下るような場面なので、おそらくつぼ足の方が速く歩けただろう。

 標高1050m付近で突如として傾斜が緩み、マクロな視点では目的のルートに乗っているようだ。標高1000m付近は完全な平坦地の広場があり、真中には杉かアスナロか分からないが大きな針葉樹がポツンと立っていた。いい目印であるが、こののっぺり地形では読図のしようがない。標高1000mは広範囲で緩斜面だからだ。しかし、後から考えると読図のヒントが現地にはあった。左(西)を向いた浅く広い谷だ。地形図を見ると確かに標高1000mには北西方向に口を開けた谷地形があるが、これがそうだったのだ。

 藪屋は基本的に尾根歩きなので、浅い谷の源頭を横断して東側の小尾根に乗った。徐々にガスが薄まってきて先の様子が見えるようになってきたので、先の傾斜が緩そうな場所を選んで方向に注意しつつ適当に下っていく。

 標高800m付近で樹林が開け、造成したと思える人工的な斜面を下ると林道と思える幅の平坦地が左右に延びていた。ロープや祠があり、明らかに人間くさい場所だ。どうやら地形図に記載されていない林道があるらしい。地形図に記載された林道まではこの林道を辿ってみる。ほぼ尾根上に林道が付けられているのでショートカットの必要は最後を除いて無かった。途中、「栃の大樹」との標識があり立派な栃の木が立っていた。

 前方にカーブミラーのポールが見えたのでカーブをショートカットして標高710m地点で地形図記載の林道に到着。当然ながら路面は雪に埋もれて、気を緩めるとどこが林道なのか分からない場所さえあった。

 傾斜が緩んでくると柔らかい新雪ラッセルで足が重くなった。これも想定の範囲内だが長〜い林道歩きは時間がかかって精神的に疲れる。新雪が無ければずいぶん楽ができたのだろうが・・・。両側が杉植林で頭上に杉がはみ出した場所では新雪の積もった量が少なく格段に歩きやすいことが分かり、周囲に歩きやすい植林帯が出てきた場合はそちらの中を歩いた。しかしそんな楽ができる場所は少なく、新雪ラッセルが延々と続いた。

 左へ斜めに上がっていく林道分岐で現在位置を把握。対岸の岩壁には落差の大きい滝あり。名前は無いのか? 尾根を回り込んで大きな沢を橋で渡ればゴールまでもう少しだ。往路で分岐する林道に入った手前でやっと路面の雪が減ったのでスノーシューを脱げた。春の淡雪のような雪が弱く降っているが積もる気配は無し。

 車に到着すると出発時より雪解けが進んでいた。降ったばかりの新雪なので古い雪と違って溶けるのは速い。雪が降っていることもあり、周囲は杉の植林があるがまだ花粉はそれほど感じなかった。

 

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